うれしの元気通信
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しゅっきー
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うれしの元気通信 2012/11/12 『うれしの和紅茶』に関わる仕事
その2 「国産紅茶専門店 紅葉~くれは~」


「嬉野に関わる仕事をしている人って結構いるよね」

この仕事を始めて特に感じた人とのつながり。嬉野にいなくても嬉野を
盛り上げ、支えている人は少なくないことをふと感じました。

そこで、直接嬉野で仕事をしているわけではありませんが『嬉野』という
ブランドを膨らませ、支える人や商品を紹介したいと考え、その中でも
ここ数年はまって愛飲している『うれしの和紅茶』に関わることを取り上げて
みようと思い立ち、このコラムを仕上げました。

第2回目はずばり『うれしの和紅茶』をピックアップ!!

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佐賀市諸富町に店を構える「国産紅茶専門店 紅葉~くれは~」
店長 岡本啓さんは自ら生産者を訪ね、自らの舌で味わい厳選した
国産の紅茶を販売しています。
国産紅茶の専門店として11年前より国産紅茶の普及、研究に努めて来た
岡本氏に、今回『嬉野紅茶』の魅力を伺ってみました。
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国産紅茶専門店 紅葉~くれは~ 店長 岡本啓氏

【うれしの紅茶の特徴】
◇うれしの紅茶の特筆すべき特徴をお教え下さい。
◆まず「日本茶」の品種を使用しているということです。紅茶用の品種を使用すると味が強くなるのですが、緑茶の品種を使うと味が柔らかくなる。逆に言えば緑茶用の木なので、美味しい紅茶を作るのは難しい。もともと紅茶用ではないからですね。例えば「カリフォルニア米で美味しいぼたもちを作れ」と言われているようなものです(笑)
◇それは厳しい(笑)
◆嬉野に関してはお二人ほど、20数年前から作り続けてらっしゃる方々がいます。売れたり売れなかったり、出来が悪い時は廃棄されたりとかありましたが、そういうことも含めて技術の引継ぎがあっているので、特にうちで扱わせて頂いている農家さんはレベルが高くてはずれが少ない。なので緑茶品種としてちゃんと紅茶のクオリティを保っているし、嬉野の中でも品質の幅が少ない。
ちゃんと「うれしの紅茶とはこういう味ですよ」と決まっています。
◇そうですね。きちんと甘みがあって、ほっこり系の味というか。
◆牽引されてきた方々が、きちんとした技術を受け継いでいるので。最近は新しい方たちも増えてきたのでバリエーションも増えてきています。
例えば鹿児島に行っても色々な方たちが作っているので、一つ一つ、まったく味が違う。でも嬉野はある程度統一性があります。なぜかというと緑茶品質で、うま味があって、香りはおとなしいけれど、逆に言えば「和菓子にぴったり合う」といったような、嫌みじゃない香りがありますね。しかも熟成が進むとさらに美味しくなります。その3つが特徴でしょうか。
じっくり時間をかけて、お茶を抽出するときもじっくり時間をかけると逆に渋みが少なくなります。買って直ぐよりも、1年後の方が美味しくなりますよ。あとは和菓子に合う優しい味と香りを持っている。この辺りがうれしの紅茶の特徴になります。
◇やはりその特徴は、よそにはみられないですか?
◆もちろん、ある所もありますし似ていたりもするのですが、取引先のとらやさん(東京の有名和菓子店)から依頼を受けていくつか和紅茶のサンプルを送った時に、うれしの紅茶が「うちの濃い羊かんには一番合う」と言われたことがあります。
他の所が同じようなお茶の木で同じような製法を行ったとしても、もっと味や香りが柔らかくなってしまって、物足りないものになってしまったのですね。しかしうれしの紅茶は優しいのに力強いのでとらやさんの希望された「濃い羊かんに合う」ものだったのです。比較的小城羊羹も濃いですよね。佐賀自体甘みが濃い。そういうものに合わせた好みなのか、土壌なのかは分かりませんが。
優しいけど厚みのあるものなので、飲み比べると特に良く分かりますね。この特徴はうれしの紅茶の良いところですし、そうたくさんにはない特徴です。品種というか、技術ですね。

紅葉では、和紅茶は日本茶器でいただく。
うれしの紅茶

【『和紅茶梅酒クレハロワイヤル 嬉野アールグレイ』の生まれた経緯】
◇『クレハロワイヤル 嬉野アールグレイ』のお話を伺いたいと思います。先日、中村酒類販売さんに取材させて頂きまして「特別な無理もなく、素直に生まれてきたお酒」で「開発段階での裏話的要素がなかった」と聞きました。「大変だったのは梅酒の担当さんと紅茶の担当さん」ともおっしゃっていました。そこで、紅茶担当として梅酒にうれしの紅茶を合わせた経緯などをお聞かせ下さい。
◆実は苦労しました(笑)色々なサンプルを作って、最後に落ち着いたのが嬉野茶でした。一番苦労したのは、使用した大分の梅酒が結構濃かった、ボディがあるというか。ボディと言うのはクエン酸とうま味のバランスなのですが、これが紅茶の渋みと混ざるとえぐみが出てしまう、舌が痛いくらいの。例えばダージリンなどで合わせると、渋くて飲めない。涙が出るくらいで、紅茶より渋くなってしまいます。しかし紅茶の量を少なくすると、今度は香りやうま味が薄くなってしまいます。ということでうま味を持っていて渋みが少なくて、それなりの存在感を出そうと色々と試した結果、うれしの紅茶が最適でした。やっぱり九州のものには九州のが合うねと。で、ちょっと香りを補うためにアールグレイにしました。
誰でも飲みやすくて、紅茶の存在感や味を出して、このバランスを考えた時にうれしの紅茶じゃないとダメでした。薄っぺらすぎてもいけないし、尖りすぎてもダメでしたから、丸くて太いやつを選ばないといけない。これが大変でしたね。
◇そう考えると、うれしの紅茶の特徴を全て生かすことができたと。
◆そうですね。これがほかの紅茶だとまた違ったものになっていましたね。
あと、梅酒というのは青いものとはあまり相性が良くないというか、さっぱりしたものと合わせると良くない。紅茶として熟成の進んだものでないと何と言うか嫌みな味になってしまうので、ある程度は発酵の進んだものを選ぶ必要がありました。実は水色が濃くても、飲むと青臭さを残すものも少なくないです。良く言えばフレッシュな味。しかしフレッシュという意味でなく、青臭いというかどちらかといえばマイナス要素。言ってしまえば発酵が上手くできていない。それが少ないのもうれしの紅茶の特徴なのです。
優しい香りはするけれど、意図して優しくできているので梅酒と合わせた時にぶつからず、青臭さと渋みと味の太さ、この3要素がぴたりと合うのを求めていろいろ試した結果、一番合ったのがうれしの紅茶でした。
◇地元の物で作りたいという思いもあった中で、ちょうどタイミングも良かったという話は中村酒類販売さんでもされていました。
◆自分たちの考えの中で基本、地元のものを、安全安心なものを使おうとは思いつつ、こだわり過ぎてまずいものを使うくらいだったら、海外のものでも良いとも思っています。でも今回は地元のものを使ってピタッと合った。これが九州産にこだわっていなかったとしても、結果うれしの紅茶にたどり着いたのではないかと思います。

嬉野アールグレイ(アールグレイとはベルガモットで香り付けをしたもの)
嬉野アールグレイ


【『和紅茶梅酒クレハロワイヤル 嬉野アールグレイ』開発中の苦労話】
◇ちなみに『梅酒に紅茶を合わせる大変さ』とは、どれくらい大変な作業だったのですか?
◆1ヶ月くらい色々な茶葉・濃さを試したのですが、飲酒運転になるので(笑)終業後に皆で泊まれる所で何パターンも味見をしました。
同じ茶葉でも1g単位で作って、サンプルがぶわ~っと並ぶんです。その中でもお茶屋の自分が良いと思う味と酒屋視点の味はやっぱり違う。
お茶屋的にはもう少し紅茶の香りを出したい。例えばピリッと渋みを出したい、タンニンを感じさせたい。しかし酒屋さんの方は居酒屋で呑むグラスのデザインから割り方、頂くタイミングまでのシチュエーションを想定した上での美味しさの追求、例えばこのタイミングで焼き鳥屋で呑むときに一番美味しいのはこれだという具合です。それで、お互いの感覚をすり合わせないといけない。で、その時にこういう味にして欲しいと依頼されたときに、じゃあ自分はもう少しボディを加えようとか、青みを取るとか渋みを取るとか考えながら「じゃ、また1週間後に」といったん解散。後日また集まってサンプルぶわ~っと並べる。これの繰り返し(笑)今度は0.何g単位(笑)当時1g単位でのブレンドはしていましたが、0.何g単位ではしていなかったので、それ用に秤を買いました(笑)
味の感覚といった数値化されていないもののすり合わせもしましたし、居酒屋で梅酒を注文する女性の感覚を探るために居酒屋にも通いました。仕事終わって、クタクタになって、「仕事終わった~っ!!」って喜んでいる、その時に呑みたいものがコンセプトでもありましたから。自分は正直、お酒は強くないのですが(笑)
自分たちみたいにストイックに「お茶ってもんはな...」って気分で飲むのではなく、一旦頭空っぽにしてからお酒を頼んで、で「あ、これが美味しい。これを求めているんだ」というのを体験した上で再度テイスティングを行う。
専門的な考え方と素人的な考え方、この反対の考え方を同時進行させないといけないというのは、とても勉強になりました。
◇普段聞くことのない話で、とても興味深いですね(笑)開発というのはやはり、大変なんですね。
◆そうですね。一緒に関わったスタッフなどは30代前半の女性をターゲットと考えたとき、ターゲット世代女性の読む雑誌、見る映画、ライブ、全部体験するんですね。生活スタイルをできるだけ合わせていく。で、その世代が夜飲みたいと思うお茶は何だろうというところから考えていましたね。消費者目線と言ってしまうのは簡単ですが。かといって妥協して、皆が粗雑なものを飲んでいるからとそれに合わせるかと言うとそうではない。その辺りはプロとして、地元の物を伝える必要もある。意地も捨ててはいけない。自分たちの気持ちも伝えたい。そこも踏まえて軽すぎず重すぎず、丁度良いバランスをお互いの味覚の中で表現していきました。もうちょっと甘い方が良いとか、いや甘いけど炭酸で割ると丁度良いんだよとか。かといって生地で飲む方もいますし。家でどんな飲み方をされるのか、それにピタッと合うように0.何g、糖度0.何%単位で変更していきました。
◇今までの話を伺うと、大分の梅酒メーカーさんも取材してみたくなりますね(笑)
◆あ~、もぉうるさいですよ~、この人も(笑)元ニッカウヰスキーのブレンダーさんなんですが、ウイスキーって1滴単位でされるそうなんですよ。クレハロワイヤル開発中も「茶葉の状態が前と違う」と何度か突き返されました。「ちょっと色が薄い」とか(笑)そういう意味で、品質管理の考え方などは凄く勉強になりました。
◇苦労話、ないと聞いていたのにしっかりありましたね。
◆お酒業界ではこれが普通なのかもしれません(笑)「それくらいじゃ苦労じゃねーよ、甘えてんなよ岡本!」みたいな(笑)


【今後の展望】
◇最後になりますが、うれしの紅茶の今後の展望をお聞かせください。
◆全国的に、和紅茶に詳しい方にはうれしの紅茶は一定の位置を保っていると思います。現在は東京でも引き合いが多く、数ヶ所で扱って頂いています。「新しい店舗を出すので、そこでうれしの紅茶を取り扱いたい」といった話も良く頂きますので、うれしの紅茶にはまだ普及の可能性が残っています。しかし嬉野は緑茶の産地なのでまずは緑茶を守って頂きたい。紅茶も美味しいのを作って頂きたい。この両立は実は結構難しいのですが、紅茶が産業として成り立つことが分かればお金もかけてもらえるし、畑も増やせます。ありがたいことに緑茶の旬と時期が違うので、それぞれの旬に合わせて双方が動いていけると良いなと思います。
うれしの紅茶のブランド化は、嬉野の方々のある意味"悲願"というか当面の目標ですが、ブランドがあっても広がらなければ意味がない。そういう所では自分たちが協力できればと思います。全国に広めて、持続可能な形で一つの産業として成り立つようになって欲しいですね。
当面、私も頑張って売り込んでいきたいと思います。


以上の話をお伺いしました。
岡本さんの活躍は九州だけに留まらず、福岡・東京とファンを広げています。
それでも未だに佐賀に拠点を構え、活動される姿に感服します。
うれしの和紅茶の伝道師としての活躍は、今後一層の広がりを見せるのだと思うと、一ファンとしても心躍るものがあります。
今後のご活躍を期待しつつ、今日もお茶を楽しみたいと思います。

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国産紅茶専門店 紅葉~くれは~ホームページ⇒http://creha.net/

紅葉さんはネットラジオのスポンサーをしており、そちらのサイトでは
ネットCM(動画)も展開です。
GONかんぱに~ネット放送局『ごんてれ』

 
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